投資信託

おつり投資のトラノコのメリット、デメリット。小額投資なのに固定費がかかるのがネック

455円のお買い物を500円玉で支払ったときに出る45円のお釣り。これを貯金する小銭貯金などは昔からよく使われてきた貯金術(?)ですが、このお釣りを貯金するという考えをクレジットカード×資産運用と絡めたサービスが登場しています。

おつり投資と呼ばれる本サービスは、普段のお買い物で発生する「お釣り」を自動的に投資に回してくれるサービスです。現在は様々な、おつり投資サービスが登場しています。その中でも今回はおつり投資の先駆者である「トラノコ」と呼ばれるサービスを紹介していきます。

面白いサービスである反面、資産運用や投資サービスという観点から見るとマイナス点も少なくありません。そんなトラノコのメリット、デメリット、注意点を紹介していきます。

クレジットカード決済の“お釣り相当額”を自動投資するサービス

トラノコというサービスは、家計簿アプリと連携をして、クレジットカードでのお買い物で一定額以下の部分をお釣りと判断して、その差額分を後日まとめて銀行口座から差し引き、自動的に投資(投資信託の購入)に回すというサービスです。

たとえば、「1000円」をおつり投資に設定した場合、買い物の都度、お釣り額を計算して、その合計額が投資されます。

  • 810円(190円がお釣り扱い)
  • 1500円(500円がお釣り扱い)
  • 110円(890円がお釣り扱い)
  • 2570円(430円がお釣り扱い)
  • 470円(530円がお釣り扱い)

こんな感じになります。そしてその合計額がおつり投資額となり指定の銀行口座から振替されて、トラノコというサービス内で運用されます。

リアルタイムにおつりが投資されるわけではなくて、後で計算して銀行から引き落とされるわけですね。あくまでも仮想的に計算された「おつり」が投資されるわけです。

都度都度、積立られるのではなく、後からまとまって総額が引き落とされるので、小銭貯金のように細かく貯金(投資)する感じではないですね。

家計簿アプリと連携して投資をする

基本的には家計簿アプリからおつり投資のデータを引っ張ってくることになりますので家計簿アプリの利用(正確にはクレジットカードデータの連携)が必要になります。

すでに利用している人にとっては良いですが、そうでない方は少し面倒かもしれません。

投資対象は投資信託

トラノコで積み立てた「おつり」は投資信託に投資されます。

  • 小トラ(安定運用)
  • 中トラ(バランス運用)
  • 大トラ(積極運用)

この3種類となっています。

手数料は月額+信託報酬

トラノコは月額利用料(300円・税込)に加えて、投資信託(小トラ、中トラ、大トラ)の信託報酬(運用残高の0.3%)となります。なお口座開設から3か月間は月額利用料は無料になります。

信託報酬
投資信託の運用に関するコスト。年率で設定され、日々日割した金額分が毎日残高から差し引かれます。

トラノコの大きなネックはこのコストですね。信託報酬0.3%は高いとは言いませんが、月額300円が高いと思います。

提携サービスでポイント(マイル)がもらえるのはうれしい

トラノコはフィンテック企業として多くの会社と資本・業務提携をしています。そうした企業との間でトラノコ利用でポイントが貯まる展開をしています。

  • nanacoポイント(毎月20ポイント)
  • ANAマイル(毎月5マイル)
  • dポイント(毎月15ポイント)

前述の月額手数料と比較すると、もらえるポイント数はわずかですが、もらえるものはうれしいですね。還元額的に考えるとnanacoポイントが一番よさそうです。

トラノコの評価、おつり投資と月額300円のコストは釣り合わない

トラノコという資産運用サービス、手軽に投資に参加できるという面はメリットがありますが、あえてトラノコであるメリットはそこまで大きくありません。

月額300円というコストが高すぎます。

月額300円が運用額に占めるコスト計算

たった300円でしょ。と思われるかもしれません。年3600円が運用総額に占める手数料率を割合にすると以下の通りです。

  • 5万円:7.2%
  • 10万円:3.6%
  • 30万円:1.2%
  • 50万円:0.72%
  • 100万円:0.36%
  • 300万円:0.12%

運用額が増えれば手数料率は下がります。

ざっくり見れば100万円を超えてくれば手数料率的にも小さくなります。この辺り以上の運用になってくれば、まぁ悪くない感じでしょうか。

でも、あくまでも「おつり」を投資に回すサービスであるということを考えると、そこに達するまでに何年かかるの?と思ってしまいます。

月に数千円程度のおつり投資しかできないようだと、かなりの割合を手数料に取られてしまい手数料負けする運用です。

あえて、おつり投資にこだわらず普通に投信を積み立てするほうがお得

積み立て投資のサービスは色々なサービスがあります。「おつり」といっても毎月引落されるわけなので、それをするくらいなら毎月1万円とか2万円とかを投資信託の積立投資にすればいいだけだと思います。

たとえば、楽天証券で投資信託の積立投資をすれば月額手数料などはかからず、投資信託の信託報酬だけの運用コストで済みます。それどころか「楽天証券&楽天銀行&楽天カードの組み合わせが最強の資産運用ツールとなる理由」でも紹介しているように、楽天カードを使って積立投資をすれば投資額の1%が毎月ポイント還元されます。

>>楽天証券公式ホームページ

無駄に300円(定額)のコストをかける価値はないでしょう。

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。