株式の売買は買いたい人と売りたい人の注文を付き合わせることで成立します。
つまり、株を買いたいのであれば、株を売ってくれる投資家、逆に株を売りたいのであれば、株を買ってくれる投資家が必要になるわけです。株式売買の注文を出す際は、今どのくらい買い注文・売り注文が出されているのかということを知らないと適切な投資判断はできません。そうした買い注文や売り注文の状況を知るためのツールが「板(板情報)」です。今回はこの「板」についてわかりやすくまとめていきたいと思います。
もくじ
板(板情報)って何?
板(いた)というのは、現在の特定の銘柄に対する買い注文や売り注文の数量を一枚のボードに配置したものです。百聞は一見にしかずということで、下記の板をご覧ください。
上記が板と呼ばれるものです(出所はSBI証券)。
板と株価の決まり方
具体的に板からどのような情報を読み取ることができるのかを見ていきましょう。
- 左側・・・売り数量
- 真中・・・株価
- 右側・・・買い数量
をそれぞれ意味しております。
たとえば、現在この株式においては3165円で35500株の買い注文がでており、3170円で22700株の売り注文が出ているということを示しているわけです。
もし、この時点であなたがこの株式を買いたいと思った場合、成行注文で注文を出すと高い確率で3170円で売買が成立するわけです。逆に売りたい場合なら3165円で売り注文が成立します。
もちろん、指値注文として3165円以下の価格で買い注文を出しても問題ないわけですが、その場合はすぐに取引が成立するわけではなく、その価格での売り注文が出てくるまで待つことになります。
たとえば3150円で2000株の指値買い注文を出した場合、3150円のところの買い数量が51100株から53100株へ増加します。
このケースでは、時間優先の原則により、事前に出されている51100株の買い注文が成立した後、あなたがだした2000株の買い注文が成立することになります(そこまで売り注文がでれば)。
板情報を利用した株取引の考え方
板は現在の取引注文の状況がわかるので色々な投資判断に利用することができます。
- 板が薄い/厚い
- 現在の株価よりも下や上に大きな注文がある
- 寄り付き前の板の気配値は信用できる?
上記のケースごとにどんな状況なのか?取引時に注意すべき点はどんなところなのか?ということをまとめていきます。
板が薄い/板が厚い
板が薄いというのは板に載っている注文が少ない状態を指します。板が厚いというのはその逆で大量の注文が乗っかっているような状態を指します。
注意したいのは板が薄い時の注文です。板が薄い状態だと自分の買い注文や売り注文で株価を大きく変えてしまうことになってしまいます。
1万株を保有しているけど、場(板)には数百株の注文しか並んでいないという場合、1万株を一度に成行注文(売)を出してしまうと自分の売り注文で株価を大きく下げてしまうことになるわけです。
大型株では個人投資家レベルでそうなることは少ないでしょうが、商いの薄い中小型株の場合はそうした流動性の低さも考慮する必要があります。
現在の株価よりも下や上に大きな注文がある
板を見ていると、現在の株よりも上に桁違いの売り注文があったり、逆に下に桁違いの買い注文があったりします。
こうした注文があるとそれ以上、株価が上がり(下がり)にくくなると考えられます。それだけの買い注文(売り注文)がないとその株価よりも上(下)に行かないからです。
なお、約定させるつもりがないのに、こうした買い注文や売り注文を出すことは「見せ板・見せ玉」といって禁止されている取引です。
寄り付き前の板の気配値は信用できる?
板情報はザラ場中(取引時間中)はもちろんですが、寄り付き前も一定の時間から確認できるようになります。
- 前場(午前8時~)
- 後場(午後12時5分~)
この段階で気配値が表示されます。株価は取引開始までに注文された内容を元に「板寄せ」という方法で決められ、その後はザラ場方式という方法で決まります。
板寄せの段階を見ることで、取引開始時の価格の予想をある程度付けられます。ただ、特に前場の寄り付き前の板情報は当てにならないことが多いです。取引開始時刻ギリギリに注文がドカッと入ったり消えたりすることがあるからです。
特にSQ(先物やオプションの清算が行われる日)は特にその動きが顕著です。
まとめ。板読みの力を身に着けよう
板情報は株の注文状況を理解する上で役立つツールです。
最近では「フル板」や「全板」といって従来の板情報よりもより細かな情報を知ることができるツールも一部の証券会社(ネット証券)で個人投資家向けにも提供されています。ぜひ積極的に活用して板読みの力を身に着けていきましょう。