よく言われている話として「100-年齢」くらいの割合の資産は株式や投資信託といったリスク性の資産に回してもよいと言われています。仮に30歳で800万円の資産があるとすれば、7割の560万円は投資に、残りの3割は預金等のリスクの小さな資産で保有する都いったものです。
一般的に考えて、年齢があがるほど老後までの運用期間が短くなることからリスクをとりにくくなります。そうした観点から年齢があがるほどリスク性運用を減らしていくという方針自体に間違いはありません。
その一方で、どれくらいリスクを取れるのかというのは単純に金額と年齢だけでは判断できない部分もあります。今回はそのような保有資産とリスク性の運用にどれくらいお金を回せるのかという点を考えていきたいと思います。
もくじ
投資額は割合よりも絶対額が重要
まず、リスク性の資産で運用する資金は保有資産に対する割合よりも絶対額(金額)の方が重要です。仮に30歳で1000万円の資産がある人とと100万円しか資産がない人とではどれくらいを運用に回すべきかという考えは異なってきます。
絶対額で運用資産を考えるときは「どのくらいの資産を換金性が高く安全性が高い形で持っておくべきか」というのが重要な感がになります。一つは「万が一のときの金銭的バッファ」、もう一つは「近々に必要となるお金」です。
万が一のときの金銭的バッファ(生活防衛資金)
人生はリスクに満ちており、何が起こるかわかりません。病気になるかもしれません。突然会社をクビになるかもしれません。会社が倒産するかもしれません。そんなときに頼りになるのはやっぱりお金です。
「生活防衛資金」という呼ばれ方をするかもしれませんが、万が一のときに多めに見積もって半年〜2年分くらいの生活費があれば多くの場合で生活の再建ができると言われています。仮に毎月生活費として20万円を使っているとするなら120万円〜480万円くらいになります。このくらいお金があれば、お金に関してすぐに困るということになる可能背は低いです。
なお、生活防衛資金を意識すると無駄も小さくなります。
2年分の生活防衛資金を貯めることができれば医療保険やがん保険などはほぼ不要になります。なぜならそうしたリスクに対して「現金」で備えができているからです。
保険は払った金額(保険料)に対するリターン(保険金受取の期待値)はかなり小さいです。そのため、保険をかけないで済むという状況は平均的な家計のリターンを向上することにつながります。
近々に必要となるお金は流動性を持たせる
近々に使うお金については流動性(換金性)をもたせておくべきです。住宅購入、子供の進学、自動車の買い替えのようにあらかじめわかっている、まとまったお金の使いみちがあるでしょう。そうした「使うことが決まっているお金」についてはすぐにつかえるように換金性と安全性をもたせておく必要があります。
具体的にはいつでも解約できるようなや「普通預金」といったように換金性が高く、状況によって元本の変動が起こりにくい安全性の高い資産で確保しておくべきです。
必要なお金を超えた部分が運用可能資産
逆に考えるとこの生活防衛資金や近々に使うことが決まっているお金を超えるお金については、すぐに現金化できなくても問題がないお金ということになります。そうしたお金は安全性だけでなく運 用性も考えることができるわけで、生活防衛資金を超えた額を投資(運用)に回すという考えは一つの有効な考え方になるでしょう。
リスク運用を考えるとき、単純に◯◯%までは株式投資などで運用するといった考えは簡便すぎます。換金性・安全性を保っておくべき資産を「超えた部分について運用する」という考え方の方が健全です。
運用するときのリスク配分は人それぞれで違ってくる
運用と言っても、リスクの低い国債などで運用しておく「守りの運用」と株式などによる「攻めの運用」があります。
このリスク配分については「年齢」「収入」「家族の状況」などによっても変わってくるでしょう。
まだ若い人であれば運用で失敗をしてもその後の収入でカバーすることができます。その一方で定年間際という方であれば保有している運用可能資産を大きなリスクにさらすのは大切な老後資産を毀損することにもなりかねないわけで注意が必要です。
老後が見えている人は「最大リスクと絶対額」で判断する
老後を見据えて資産を運用する人は株式と言ったリスクのある運用をする時は、最大リスクと絶対額で判断するべきです。
一般に株式で運用する時の年間の最大リスクはおおよそ50%ほど。つまり資産が半分になる可能性もあると考えておくとよいとされます。
つまり、「そうなっても老後は設計が根本的に崩れることはない」と判断できる絶対額(金額)での運用であればあるいていどリスクを取った運用もできるということになります。逆に、そうなっては困るという金額であればそうした資産はリスクの小さい定期預金や国債等で運用をしていくべきと考えることができます。
若い人は攻めの運用もおすすめ
一方の若い人は攻めの運用がお勧めです。若い人は老後までは「長い期間」があります。投資において長い期間というのは「複利効果が高くなる」ということでもあります。
(参考:投資の王道は「複利」での長期投資)
若い人は運用で失敗しても、その後の給料収入などでリカバリーをすることが老後が目前という人と比べると容易です。それを考えると、ある程度のリスクは負うことができると考えることができます。
心理的な安定性も重要
たとえば、ある株式に投資をしたとして、その値動きが気になって仕事中もザラ場が気になってしょうがない、夜も眠れないというような状況は、おそらく心理的にリスクを取りすぎだと思います。
たとえば総資産の10%しか投資に回してないけど、毎日の株価が気になるというのであれば、もっとリスクを落とした運用に切り替えた方が無難かもしれません。
以上、保有資産の何割くらいは株式等のリスク性資産で運用していいのか?という考え方について紹介してみました。