2016年(平成28年)1月より、債券および公社債投信に対する税制が変更されます。金融課税の一体化として、株式や株式投信と共通化されるようになります。
今回はそんな税制の改正のポイントと課税制度の変わり目でどのような行動をするとお得なのかもまとめて紹介していきたいと思います。
もくじ
税制改正による3つの変更点
まず、債券というのは国債、地方債、債券などが該当します。公社債投信はMRF、MMF、外貨MMFなどの債券で運用している投資信託です。
1)債券・外貨MMFなどの売却益が「課税対象」となり、利子・分配金・償還差益の課税方法が申告分離課税に統一されます。
非課税→20%の申告分離課税
現行、債券・外貨MMFなどの売却益は「非課税」となっていますが、これが課税対象になります。特に注意したいのが外貨MMFです。公社債投信の中でもMRFやMMFなど売却益が生じることはほぼないのに対して、外貨MMFについては「為替レートの変動」によって円ベースでの売却益(損)が生じることがあります。
これまでは売却益が生じても非課税で済みましたが、2016年1月以降の売却時に利益が出ると課税の対象となります。
このほか、債券・外貨MMF等の利子・分配金(現在は源泉分離課税)、債券の償還差益(現在は総合課税)については、申告分離課税(株式などと同様)に変更されます。
2)債券・公社債投信と株式・株式投資信託との損益通算・損失の繰り越しが可能になります
(1)の課税化に伴い、債券・公社債投信と株式・株式投資信託との間で「損益通算」が可能になります。これによって株式投資で生じた損失を、外貨MMFの売却益で損益通算することも可能になります。
※損益通算とは?
2種類以上の所得の損益を合算して課税する仕組み。たとえば、株式で100万円の利益、債券で50万円の損失が生じた場合、損益を合算して50万円の利益としてその利益に課税するする方法のこと。
また、株式同様に損失が発生した場合、確定申告をすることで
3)債券・公社債投資信託が特定口座で管理可能に
課税の一本化に伴い、従来は一般口座で管理されていた債券・公社債投資信託も特定口座で管理ができるようになります。
なお、2016年1月1日時点で保有している債券・公社債投資信託は経過措置として一般口座から特定口座へと組み入れをすることができます。
(原則として、取得価格は当初買い付けを行った時の取得価額となります)
特定口座については「証券会社の特定口座と一般口座の違い」で詳しく説明しています。
2015年末(平成27年末)までに行っておくべき対応
税制面で損をしないために2015年末(平成27年末)までにやっておくべき対応は次の通りです。
1)外貨MMF等で「含み益」がある場合
一度売却して「益出し」をしておきましょう。今後も外貨MMFに投資をしておきたいと言うのであれば翌営業日以降に再度買い付けし直します。こうすることで、外貨MMFによる利益を非課税のまま利益を確定させることができます。
2)外貨MMF等で「含み損」がある場合
相場観(円安・円高)も絡む話なので確実にそうした方がいいというわけではありませんが、株式投資や他の株式投資信託などに投資をしている場合は2016年以降に損切りをすれば、その損失を株や投資信託の利益と損益通算することができるので税制面だけを考えればお得になるといえるでしょう。