株主優待目当ての投資は要注意!初心者向けに優待落ちや廃止リスク・クロス取引を徹底解説

ただ、こうした株主優待を目当てに投資をするような場合には、いくつか注意しておきたいことがあります。特に投資初心者(これから投資を始める)という方はぜひご一読いただければと思います。
株主優待を受け取るためには?
まず、そもそも株主優待を受け取るにはどんな風に株を買えばいいのでしょうか?
こちらについては「株主優待・配当金の権利取り基礎知識」で説明をしているので、まずはそちらをご一読ください。
株主優待は、配当金や議決権などと同様に、権利付き最終日の時点で株主となっておくことで受け取ることができます。
ただし、期末は配当金のみ、中間期に株主優待のみといったように変則的に株主優待を提供している企業もあるので、最終的な権利取得日については、各企業の公式ホームページ等で確認されることをお勧めします。
権利確定日についての補足
権利確定日は月末(最終営業日)に設定されている企業が多いですが、毎月均等にあるわけではありません。たとえば、3月末決算の企業は年間で最も多く、867銘柄にも上ります。一方で、15日や20日など、月末以外(月中)に権利確定日が設定されている企業も存在します。
保有株数による優待内容の違いと「長期保有優遇制度」
株主優待を受け取る際、1単元(通常100株)を持っていればすべて同じ内容を受け取れるとは限りません。「100株保有と300株保有で優待内容や利回りが異なる」といったように、保有株数によって優待内容が変わる企業は多く存在します。
また、近年は「1年以上継続保有」「3年以上継続保有」といった条件を満たした株主に対してのみ優待内容を充実させる、あるいは長期間保有しないと優待自体がもらえない制度(長期保有優遇制度)を導入する企業が増えています。超短期保有では目当ての優待が受け取れないケースもあるため、事前に条件をよく確認してください。
株主優待銘柄に投資をするうえでの注意点・リスク
以下では、人気の株主優待銘柄に投資をするうえで注意したいポイントをいくつか解説していきます。
配当落ちならぬ、「優待落ち」による株価下落
株価は通常、配当金などの権利付き最終日の翌日(権利落ち日)に配当金相当額の株価が下落します。
これを「配当落ち」というのですが、特に人気のある株主優待銘柄については、この動きが顕著です。
株主優待人気ランキングなどの上位にあるような銘柄については、配当落ち以上の金額の株価下落が起こることが多いです。優待落ちとでもいうのでしょうか?権利付き最終日に株を買って、翌日(権利落ち日)に売るような「超短期保有」で株主優待の権利だけもらおうなんて考えだと、優待のメリット以上に株価下落を受けるリスクが高まります。
人気銘柄の空売りも要注意
人気銘柄の配当落ち・優待落ちを狙っての空売りもお勧めしません。権利付最終日前後は、株を借りるためのコストである「逆日歩」が数円から数百円に跳ね上がるリスクがあります。
人気の株主優待銘柄で「優待終了」が一番のリスク
個人投資家から人気の高い優待銘柄は「優待を目的」に保有している投資家が多いです。そしてこの株主優待における最大のリスクが「株主優待終了(廃止)」または「株主優待改悪」です。
優待銘柄で優待が終了・改悪されると、間違いなく株価は大きく下落します。特に、個人の保有比率が多い株ほど優待終了=株価下落につながります。
優待廃止による株価暴落の実例
- ラックランド:2025年5月に優待廃止を発表し、夜間取引で株価が20%超急落。
- REVOLUTION:優待廃止を発表後、2日連続ストップ安となり40%強下落。
特に、株価に対して過大ともいえるような優待内容を提供しているような場合は、中止や変更などの可能性も十分に考慮するべきです。
株主優待を廃止する企業が増加している構造的背景
実は、優待実施企業数は2019年をピークに減少傾向にあります。野村インベスター・リレーションズの調査によると、2022年9月時点での優待実施企業割合は上場企業の34.2%(1,473社)となっており、3年連続で減少しました。
優待が廃止される理由として挙げられることが多いのは以下の3点です。
- 「株主平等の原則」への配慮
- コーポレートガバナンス・コードの浸透
- 外国人投資家や機関投資家への公平な利益還元(配当金への集約)
企業が公平な還元を目指す流れは今後も続くと見られており、優待廃止リスクは以前よりも身近なものになっていることを理解しておく必要があります。
株主優待投資をより安全に楽しむための基礎知識
「クロス取引(つなぎ売り)」の基礎と注意点
株価変動リスクを避けて優待を取得する手法として「クロス取引(つなぎ売り)」があります。これは「現物買い」と「信用売り」を同時に行うことで、株価の変動リスクを相殺し、手数料の負担のみで優待を取得する手法です。
ただし、信用売りを行う際には必ず「一般信用取引」を利用する必要があります。「制度信用取引」を利用すると、先述した高額な「逆日歩」が発生し、結果的に優待の価値以上の損失を被るリスクがあるため十分に注意してください。
NISA口座を利用する場合の注意点
NISA口座でも株主優待を受け取ることは可能です。配当金や売却益が非課税になるメリットは大きいですが、NISA口座では「信用取引」ができません。そのため、NISA口座内で上記のクロス取引(つなぎ売り)を行うことは不可能です。
株主優待の税務上の扱い(一時所得)
配当金は「申告分離課税」として税金が引かれますが、株主優待は原則として「一時所得」に分類されます。
一時所得には年間50万円の特別控除があるため、一般的な個人投資家であれば税金がかかるケースは稀です。しかし、懸賞の賞金など他の一時所得と合算して年間50万円を超える場合は、確定申告が必要になる点には留意しておきましょう。
