企業が倒産(デフォルト)するかもしれないリスクを価格として取引しているものがあります。CDS(クレジット・デフォルトスワップ)と呼ばれるものです。これは、デリバティブ取引の一種で、企業の債務不履行リスクを対象にした金融商品です。万が一対象企業が破綻してデフォルトした場合、CDSの買い手は数量に応じて支払いをうけることができるという仕組みです。
CDS取引価格で企業のリスクを知る
ちなみに、CDSの取引価格は「東京金融取引所」で見ることができます。(参考:【J-CDS】CDS参考値)
たとえば、2012年12月6日現在
シャープ:2,766.56
パナソニック:264.97
ソニー:338.77
三菱商事:66.60
この取引価格が高いほど、「倒産リスクが高い」ということを意味しています。
CDS価格は、万が一の保険料です。リスクが高いほど保険料が高くなるというのは感覚的にわかるかと思います。
こうやって見ると、シャープのCDS価格は高いですね…。それだけマーケットがシャープの破綻を織り込んでいるわけです。
企業の健全性を見るものとして代表的なものに「信用格付け」がありますが、CDSも格付けと同じように企業の安全性を知ることができる有効な指標の一つになるかと思います。
ちなみに、CDSは世界中で取引されており、日本やアメリカ合衆国といった国単位のデフォルトリスクについてもカバーできています。
CDSの利用方法
CDSのまっとうな利用方法としては投資している企業や国などのデフォルトリスクに備えるための「保険」としての利用が挙げられます。
万が一、債券などを保有している企業が破綻したとしてもCDSを買っておけば、万が一デフォルトしたとしても、CDS保険料によって補償を受けることができます。
また、このCDSは必ずしも「保険」としての売買ではなく、CDSの値動きを狙っての売買も可能です。
倒産しそうなCDS価格は高いので、それを売って後日リスクが小さくなったら買い戻す。逆に、今は健全だが将来リスクが高まりそうな企業のCDSを買っておいて後で売るという選択も可能です。
ただし、CDSの売買に個人投資家が参加することはほぼ不可能です。一方でクレジットリンク債などCDSを債券などに組み込んだ金融商品は存在し、こちらなら個人投資家でも投資可能な場合があります。