投資の「リスク」と「リターン」とは?期待収益率・標準偏差の計算方法と分散投資の基本を分かりやすく解説

投資におけるリターンやリスクを知るには、期待収益率や分散・標準偏差から考えていく必要があります。今回はこんな難しそうな話題をできるだけ簡単に説明していきたいと思います。
投資収益はインカムゲイン+キャピタルゲイン
投資における収益には「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」という二つがあります。株の場合、インカムゲインは「配当金」でキャピタルゲインは「売買益(売買損)」ということになります。
この二つの収益の合計が投資収益となります。これを投資額で割ったものが「投資収益率」となります。
しかし、預貯金のように元本保証で確定利回りの金融商品の場合、期待収益は確定されるものの、株式投資のような値動きがあったり、配当金に上下があるような金融商品では期待収益を確定することは出来ません。
このような投資商品のケースでは、将来の収益率を「確率的に」計算することができます。
期待収益率
将来のそれぞれのリスク資産(投資商品)の収益率について、様々な可能性(好況、普通、不況など)を考慮した収益の平均値を計算すればそれが「期待収益率」となります。
たとえば、以下のようなケースを想定します。
- 好況のときの投資収益:100(発生確率 20%)
- 普通のときの投資収益:20(発生確率 60%)
- 不況のときの投資収益:-40(発生確率 20%)
この場合の期待収益率は以下のように計算できます。
100 × 0.2 + 20 × 0.6 +(-40 × 0.2)= 20 + 12 - 8 = 24
この計算した24という投資収益が、期待収益率となるわけです。
分散と標準偏差と投資のリスク
投資におけるリスクというのは、それぞれの発生するケースのバラつきの程度によって計算することができます。
好況、普通、不況のケースでの収益率のブレが大きい場合と、どのケースでも収益率のブレがすくない場合、前者はリスクが高く、後者はリスクが低いと評価されます。
たとえば、先ほど出した例では、「投資収益が好況のときは100、普通のときは20、不況のときは-40」というブレがあります。この場合うまくいけば100の利益が得られる一方で、マイナスの場合は40の損をするかもしれないリスクがあるわけです。
一方で、同じ期待収益が24でも、好況でも普通でも不況でも24という場合は、どのような場合でも安定して24の利益が得られるわけでリスクが低い投資とみなされます。
このようなブレを測る指標が「分散」や「標準偏差」です。
分散 =(とある条件での収益率 - 期待収益率)2 × その確率
これをすべての可能性について計算して合計したものになります。
標準偏差 = √分散
具体的に計算してみましょう
先ほどの例で計算してみます。
好況:(100 - 24)2 × 0.2 = 1155.2
普通:(20 - 24)2 × 0.6 = 9.6
不況:(-40 - 24)2 × 0.2 = 819.2
分散 = 1155.2 + 9.6 + 819.2 = 1984
【標準偏差の計算】
標準偏差 = √1984 = 44.5421149…
このように計算することができます。この 44.54 というのが、この投資のリスクの大きさとなります。
標準偏差(リスク)が意味する確率的解釈
算出した標準偏差は、実際の投資においてどのように解釈すればよいのでしょうか。標準偏差(リスク)には以下のような確率的な特徴があります。
- 期待収益率 ± 1標準偏差の範囲に約68%の確率で収まる
- 期待収益率 ± 2標準偏差の範囲に約95%の確率で収まる
例えば、期待収益率が5%、標準偏差が10%の投資商品があったとします。この場合、約68%の確率でリターンは「-5% 〜 +15%」の間に収まると読むことができます。この解釈は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)なども公式説明で使用しており、リスクを直感的に把握するための信頼性の高い考え方です。
リスクとリターンを総合的に評価する指標
この基本的な考え方が資産ポートフォリオ全体の最適化、アセットアロケーションを考える基本となりますので、計算式はともかくとして、このようにしてリスクというものが計算されるんだなぁということを覚えてもらえるとうれしいです。
シャープレシオ(リスク調整後リターン)
同じ期待収益率でも、リスクが違えば投資の優劣は変わります。リスクとリターンを総合評価する指標としてシャープレシオがあります。
シャープレシオ =(平均リターン - 無リスク資産収益率)÷ 標準偏差
この値が高いほど、取ったリスクに対して効率よくリターンを得られている投資であると評価できます。
分散投資の効果と相関係数
たとえば、分散投資というのはリスクの方向性が異なる二つ以上の投資商品を組み合わせることで、期待収益率のばらつきを押さえることでリスクを小さくするという方法です。
この分散投資のリスク低減効果は「相関係数」で説明されます。値動きの方向が正反対(相関係数 = -1)の2資産を組み合わせると理論上リスクをゼロに近づけられます。一方、同じ方向に動く資産(相関係数 = +1)を組み合わせてもリスクは下がりません。異なる値動きをする資産を組み合わせることが分散投資の鍵となります。
正規分布の限界(ファットテール)に注意
標準偏差によるリスク計算は、収益率が正規分布に従うことを前提にしています。しかし実際の金融市場では「想定外の暴落」が理論値より高頻度で発生する(ファットテール現象)ことが知られており、標準偏差だけでは真のリスクを過小評価する場合がある点には注意が必要です。
実践編:自分でリスクを計算してみる
リスクの計算方法が分かっても、すべて手計算するのは大変です。実はExcelを活用すれば、簡単にリスクを計算することができます。
Excelで過去の月次リターンデータを入手し、STDEV関数を使うことで標準偏差を算出できます。算出された月次の標準偏差に √12(約3.46) を掛けると、年率換算のリスクが計算できます。ご自身でデータを分析してみたい方は、ぜひ活用してみてください。
そんなこと言っても手軽に管理・計算したい!
ごもっともです。計算自体は上のようにしてリスク計算できるわけですが、それを実際の投資に活かすとなるとちょっと難しいですよね。
そういう時に使いたいのが「Monex Vision」というツールです。
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