不動産投資と引き合いに出されることが多い投資商品がREITです。不動産そのものに投資をする「実物不動産投資」と、不動産に投資をする法人に対して投資をする「REIT」、それぞれの長所・短所を比較しつつ、根本的な違いについてまとめます。

結論から申し上げると、不動産への実物投資というのは会社経営と同じで「経営する」という感覚を持つ必要があります。一方でREIT投資の場合は、株式投資などと同様に金融商品への投資という側面が強くなります。

不動産投資とREIT投資は根本的に別物

REITと不動産投資を比較する際、「コスト」「税金」「管理の手間」「リスク」などをあげて、REITの方が個別不動産よりもリスクが低いとか、運用が簡単だといったように説明する方が多いように感じます。

正しい部分も多いとは思いますが、そもそもREITと不動産投資は根本的に違うと思った方が良いでしょう。

同じ投資という言葉がつくため近いように思いますが、実物不動産への投資とREIT投資とは「自分で会社を経営する」というのと「不動産に投資する法人に投資をする」というくらいの違いがあります。
厳密に言えば、J-REITは投資信託ではなく「投資法人」が発行する投資証券です。多数の投資家から集めた資金で不動産に投資し、その収益を投資家に分配する金融商品であり、証券取引所に上場しているため株式と同様に売買が可能です。

個別不動産への投資はリスクが大きいと思う方は、少額から買えるREITをお勧めしますが、それが単に「REIT > 不動産投資」という優劣で決まるわけではないという点を理解しておく必要があります。

REITについて良くわからないという方は「不動産投資を手軽に行えるREIT」などをご覧ください。

不動産投資とREITの比較一覧

両者の具体的な違いを分かりやすく表にまとめました。

比較項目 実物不動産投資 REIT投資
初期費用 数百万円〜(頭金+諸費用など) 数万円〜
レバレッジ効果 銀行融資により大きなレバレッジが可能 投資法人側が借入でレバレッジをかけている
分散投資 資金力がないと1〜数物件への集中投資になりがち 1銘柄で数十〜数百の物件に分散投資が可能
流動性(出口戦略) 売却に3〜6ヶ月以上かかる場合が多い 取引時間内なら即日売却が可能
税制・節税効果 減価償却による損益通算が可能
(売却時は保有期間により約39%または約20%の課税)
分配金・売却益は一律20.315%の申告分離課税
NISA口座を利用すれば非課税

実物不動産投資の特徴と注意点

数百万円の元手で総資産数億円になる可能性

不動産投資は会社経営と書きましたが、不動産投資の最大の特徴は銀行融資を使った「レバレッジ」です。不動産を直接買う(投資する)場合、全額自己資金という方はほとんどいません。多くの方はアパートローンなどの銀行融資を使って物件を買います。

たとえば、物件価格の10〜30%程度を頭金として用意し、500万円の自己資金で4000万円の物件を購入するといったことが可能です。年利6%程度のリターンを得ながら、ある程度返済が進んだところでさらに借り入れをして2棟目、3棟目の物件を次々と購入していく。このように、融資レバレッジを活用しながら総資産を膨らませていくというのが、不動産投資で多くみられる資産拡大の方法です。

バランスシート(貸借対照表)にすれば、数億円の資産の裏には数億円の負債(銀行融資)があるわけですが、このように数億円といった規模まで資産を拡大させることができるのは実際の不動産投資ならではの特徴だといえます。

「減価償却」の仕組みを活用した節税と売却時の注意点

不動産投資の場合、投資した建物の価値を毎年「減価償却」として費用に計上することができます。この減価償却額は建物の構造と用途によって異なります。たとえば、事業用の鉄筋コンクリート造(RC造)であれば法定耐用年数は47年で、5000万円の建物なら年間約110万円を費用計上できます。木造住宅用(耐用年数22年)であれば年間約230万円の費用化が可能です。

実際にお金の出費がないにも関わらず、この費用は税金計算上の損金(経費)として計上でき、不動産投資の収支が赤字になった場合は、本業の給与所得などから差し引くこと(損益通算)ができます。結果的に、不動産投資によって所得税や住民税の節税を行うことができるのです。このような節税手法はREIT投資では使えません。

節税の出口問題(減価償却の取り戻し課税)に注意
減価償却によって節税ができる一方で、物件を売却する際には「取得費」からこれまでの減価償却累計額が差し引かれます。その結果、帳簿上の利益(譲渡所得)が大きくなり、売却時に多額の税金が発生する点には注意が必要です。

物件選びや管理などは経営手腕が問われる

実際の不動産投資は物件選びが勝負を分けることになります。良い物件を手に入れることができれば長期的な家賃収入を得ることができますし、物件価値も維持することができるでしょう。また、入居者募集をはじめとした各種管理も行う必要があります。

適切な管理ができていると物件は長持ちしますし、入居率も高くなります。一方で管理が不十分だと物件の傷みも激しくなり、結果的に入居者が定着せず、家賃も下がるという悪循環に陥ってしまいます。

管理業務に関しては不動産管理会社などに任せることもできますが、こうした管理会社も品質にばらつきがあります。管理会社がしっかりと仕事をしているかをチェックし、指示を出すのは投資家(オーナー)の仕事になります。

REIT投資の特徴と注意点

数万円から始められ、高い分散投資効果が得られる

実物不動産投資には数百万円単位の初期費用が必要ですが、REITであれば証券口座を通じて数万円程度から投資を始めることが可能です。また、J-REITは1銘柄あたり数十から数百件もの不動産物件を保有しているため、少額の投資であっても自動的に大規模な分散投資効果を得ることができ、空室リスクや災害リスクなどを低減できます。

高い流動性とNISAの活用

実物の不動産は、売却活動を始めてから引き渡しまでに3〜6ヶ月以上の期間を要することが一般的ですが、REITは証券取引所に上場しているため、取引時間内であればいつでも即日売却して現金化することが可能です。この流動性の高さは大きなメリットです。
さらに、税制面でもREITの分配金や売却益は一律20.315%の課税となりますが、NISA口座を活用することで非課税にて運用することが可能です。

金利上昇リスクには注意が必要

REITならではの注意点として、金利上昇による価格下落リスクが挙げられます。REITの投資法人は、投資家から集めた資金だけでなく、銀行などからの借入(LTV比率40〜50%程度)によってレバレッジをかけて物件を購入しています。そのため、市場の金利が上昇すると借入金の利払い負担が増加し、収益が圧迫されることで分配金や投資口価格(株価)が下落しやすくなります。

まとめ:不動産投資は経営、REITは金融商品投資

「マンション経営」「アパート経営」という言葉があるように、実際の物件に対して投資をするというのは会社経営そのものです。

不動産という商品を管理して価格・価値を維持・向上させるのが仕事です。その分、大変なことも多いですし、業務として行わなければならないことも多岐にわたります。入居者や関係する人(不動産業者や司法書士など)とのやり取りも発生します。そのため、完全に放置していて儲かるというものではありません。
しかし、融資のレバレッジを最大限に活用し、一財産を築きたいという目的であれば実物不動産投資が適していると言えます。

一方のREIT投資は、そういった不動産経営を行っているプロの法人に投資をする金融商品です。実際の運用に直接口を出すことはできませんが、手間をかけずに不動産市場の成長を取り込むことができます。
自身の資産ポートフォリオの中に、流動性を保ちながら手軽に不動産を組み込んでおきたいというのであれば、REITへの投資が非常に効率的です。

それぞれに一長一短があり、リスクの取り方や手間の掛け方が異なります。ご自身の資産状況や投資目的に合わせて、最適な手法を選択してください。

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。