オプション取引において売買されているオプションの価格(時価)。このオプション価格のことを「プレミアム」と呼びますが、オプション価格のプレミアムは大きく「本質的価値」と「時間的価値」の2つによって構成されています。
オプション取引における取引価格を理解するためには確実に理解しておきたい項目です。名前だけ聞くとかなり難しそうに思うかもしれませんが、内容自体はシンプルです。今回はそんなオプション取引における価格の決まり方をまとめていきます。
オプション価格(プレミアム)とはそもそも何か?
オプション取引というのは権利の売買です。買う権利(コールオプション)や売る権利(プットオプション)を売買するわけです。オプションの買い手は売り手に対してオプション料(プレミアム)を支払うことによってその権利を取得することができるわけです。
詳しくは「オプション取引における「買い手」「売り手」と「コール」「プット」の意味」でも説明しているので、詳しく知りたい方はそちらもご覧ください。
このオプション価格はどうやって決まるのか?という話ですが、オプション価格は「本質的価値」+「時間的価値」の合計で決まってきます。
インザマネー、アットザマネー、アウトオブザマネー
まず、オプション料(プレミアム)のことを理解する前に表題の「インザマネー、アットザマネー、アウトオブザマネー」の3つの状態を知っておく必要があります。
インザマネー
そのオプションが現時点で権利行使をした場合に利益が生じている状態を指します。たとえば、1か月後に日経平均を15000円で購入できる権利(コールオプション)があるとして、現在の日経平均株価が16000円だという場合です。
アットザマネー
権利行使価格=現価格の状態です。1か月後に日経平均を15000円で購入できる権利(コールオプション)があるとして、現在の日経平均株価も15000円という状態です。
アウトオブザマネー
現時点で権利行使をするとマイナスとなる状態です。1か月後に日経平均を15000円で購入できる権利(コールオプション)があるとして、現在の日経平均株価も14000円という状態です。
本質的価値とは?
本質的価値はそのオプション(権利)が現時点でもっている価値です。
本質的価値はそのオプションが「インザマネー」の状態である場合のみ持ちます。
前述の1か月後に日経平均を15000円で購入できる権利(コールオプション)があるとして、現在の日経平均株価が16000円だという場合はそのオプションが1000円の「本質的価値」を持っていると判断することができます。
一方のアットザマネー、アウトオブザマネーのオプションは本質的価値はゼロです。アウトオブザマネーの場合は本質的価値がマイナス?と思うかもしれませんが、オプションは権利行使価格が清算価格(SQ)を下回っていても権利を放棄すればよいだけでマイナスの支払いをする必要はないので、アウトオブザマネーの状態でも本質的価値は「ゼロ」というように考えます。
時間的価値とは?
時間的価値というのは、そのオプションが期限までに権利を取得することができるかもしれなないという価値です。
先ほどのアウトオブザマネーの例で「1か月後に日経平均を15000円で購入できる権利(コールオプション)があるとして、現在の日経平均株価も14000円という状態」という状態を説明しました。
このオプションは現時点で本質的価値を持ちませんが、のこりの1か月という期間のうちに、株価が上昇して、15000円を超えてくる可能性がありますよね?
その可能性を価値にしたものが時間的価値となります。この価値は本質的価値のように一律に決めることができません。なぜなら可能性の話だからです。
時間的価値は時間経過で減少する
まず、オプションにおける時間的価値は「期限に近づくほど減少」していきます。
これは分かりやすいと思います。
「1か月後に日経平均を15000円で購入できる権利(コールオプション)があるとして、現在の日経平均株価も14000円という状態」なら、もしかしたら達成できるかもしれませんが、この期限が1か月後ではなく、3日後だったらどうでしょうか?
可能性はかなり低くなっていることがわかると思います。このようにオプションにおける時間的価値は満期日が近づくにつれて減少し、満期日(SQ日)にはゼロになります。このように時間的価値が時間経過で減少することを「タイムディケイ」といいます。
ちなみに、オプションの買い手にとっては、自分が買ったオプション価値というのは時間が経過するほどに安くなっていく(毀損していく)ということになり、売り手にとっては利益が確定されていくという状態になります。
時間的価値とボラティリティ
ボラティティというのは価格変動幅のことです。ボラティリティが高いというのは変動率が高い状態で値動きが荒いといえる状況です。一方でボラティリティが低いというのは値動きが緩やかな状態を指します。
オプション価格における時間的価値とボラティリティは大きな関係があります。
ボラティリティが低い商品だと、時間が経過してもアウトオブザマネーの状態のオプションがインザマネーになる可能性は低く、ボラティリティが高い商品は確率が高いといえるでしょう。
そのため、ボラティリティ(変動率)が高い商品ほど、時間的価値は高まります。
時間的価値はアットザマネーの状態が最も高い
当然ですが、日経平均が1か月で100円変動する可能性は非常に高いですが、1000円、2000円、3000円といったように大規模に変動する可能性は低いはずです。
そのため、時間的価値はアットザマネーの状態が最も高く、それから権利行使価格が離れていくほどに安くなっていきます。
オプション価格(プレミアム)についてのまとめ
オプション価格における本質的価値と時間的価値についてまとめてみました。
・オプション価格(プレミアム)=本質的価値+時間的価値
・本質的価値は現時点で権利行使したときに得られる利益
・時間的価値は満期(SQ期限)までの期間+ボラティリティで決まる
・時間的価値はアットザマネーの状態が最も高い
以上が基本となります。今回の内容はオプション価格におけるもっとも基本ともいえる部分です。