日本版ISA(NISA)の運用がスタートします。NISA口座を開設したという方も多いのではないでしょうか。NISA口座内での投資で一番に考えるべきことは「損をしない」ということを最重要視するべきということです。アンケートによるとNISA口座の運用は個別株という方も多いようですが、この点をぜひ理解しておいてください。
ちなみにNISA口座については「日本版ISA(NISA)に関するまとめ」も参考にしてください。
大儲けを非課税とするよりも、損しないことが大切
NISA口座は株や投資信託における儲けは非課税になります。
その一方で損失が出た場合の損失分も他の所得との間で控除はできなくなっています。
たとえば、NISA口座で1年間に10万円の損をしてしまったとします。その一方、通常の株式投資(特定口座内での投資)で10万円の利益が出たとします。通常の株式投資では株の儲けと損は「損益通算」が可能です。
しかしながら、NISA口座はそもそも非課税口座なので損失も通算もできなくなっています。そのため、このようなケースでは随分と不都合なことになってしまいます。
そもそもNISA以外で株は買わないから関係ない。
そういう方もいるかもしれません。しかし、こういう方にもこの問題は関係してきます。
それは、5年後の扱いです。
NISA口座における非課税期間は5年間。5年後には通常の投資口座(特定口座)での管理となります。となると、以後は儲けた場合には税金が発生します。
この時の原価に相当する取得価額は「非課税期間終了時の価格」が適用されてしまいます。
たとえば、100万円で株を買ったものの、株価が下落して5年後には80万円にまで下落していたとします。この時、税務上の取得価額は80万円となってしまいます。
その後株価が回復して100万円に戻って売却したとします。売れた値段は買った値段と同じなのに、税務上は20万円の利益がでとみなされてしまい、この儲けである20万円に4万円(20%)が課税されてしまうのです。
こういった点からも、NISA口座における資産運用では儲けが出るということよりも「損をしない」ということを中心に運用した方が良いと考えています。
具体的には下落リスクを小さくするために100万円を一度に投資するのではなく1年かけて積立投資して運用する(ドルコスト平均法となり時間分散となる)。値動きの激しい新興株ではなく、安定重視のディフェンシブ株に投資をする。といったようなことが考えられます。