ローン・融資

住宅ローンにおける変動金利・固定金利の選び方

住宅ローンにおける金利タイプの選択は重要な要素です。単純な「コスト」という問題と将来の長期間にわたっての返済における「リスク」という二面性があるためです。そのため、ローン金利タイプの選択には、あなたの現状や将来の予想、リスクに対する考え方を十分に考慮したうえで選択していく必要があるものと考えます。今回は、住宅ローンにおける変動金利・固定金利(固定期間)に関する考え方をまとめます。

金利タイプ、それぞれの特徴

住宅ローンを選ぶ上で考えたいのが「金利タイプ」。大きく「固定金利」と「変動金利」があります。固定金利は借り入れ時の金利を固定することができる代わりに、変動金利よりも基準となる金利が高く設定されています。
また、固定金利タイプは金利を固定する期間をある程度選ぶことができます。固定期間を長くするほど金利は高くなるのが一般的です。

 

変動金利タイプの特徴とメリット・リスク

変動金利の特徴は「当初の、金利メリットが高いものの返済期間中は金利変動リスク(金利上昇リスク)を負う」という点が挙げられます。歴史的な低金利水準の現在、変動金利の住宅ローン金利は1%を大きく下回る水準となっています。
(参考:住宅ローン変動金利ランキング

こうした中で、固定金利と比較すると相対的に低金利で住宅ローンを組むことができるというのは大きなメリットであるといえるでしょう。

一方のデメリット・リスクについては「金利変動リスク(金利上昇リスク)」があるということです。
変動金利は市場の金利に連動して、住宅ローン金利も上下するように設計されています。つまり、市場の金利が上昇すると住宅ローンの金利も上昇するリスクがあるわけです。

現在は歴史的な低金利水準であるから良いものの、1%の金利上昇はローンの毎月の返済額にも多大な影響を与えることになります。仮に3000万円、金利0.875%、35年返済の住宅ローンを組んでおり、この住宅ローンの金利が5年後に変動した場合のシミュレーションをしてみます。

0.875%のまま:82,949円 総額:34,838,502円
1.875%に上昇:95,412円 総額:39,325,401円
2.875%に上昇:108,932円 総額:44,192,425円
3.875%に上昇:123,463円 総額:49,423,634円

上記を見てもらうと分かるとおり、かなりの金額に違いがでることが分かるかと思います。
「そんなに金利って上がるものなの?」と思われるかもしれませんが、金利が数%上昇するというは珍しいことではありません。十分に考えられるリスクです。

このリスクをカバーできる・対処できるというのであれば変動金利はおすすめの金利形態となります。
どんな方に向いているのか?という点については最後にまとめたいと思います。

 

固定金利タイプの特徴、メリット・リスク

固定金利タイプの住宅ローンは、期間中の金利を契約時の金利に固定するというものです。最大のメリットは「期間中の金利が固定されるので、返済額が確定される。その後の金利変動リスクが無い」という点です。
そのため、変動金利タイプのように市場金利が変わったとしても金利(返済額)の変動はありません。

一方で、固定金利タイプの住宅ローン金利は変動金利の場合と比較して高いという点がデメリットであるといえます。
たとえば、2012年8月現在の住宅ローン金利を参考にみてみると下記のようになっています。

住信SBIネット銀行の住宅ローン金利
変動金利:0.865%
5年固定金利:1.32%
10年固定金利:1.34%
35年固定金利:2.09%

見て分かるとおり、固定金利の期間が長いほど金利が高く設定されています
(仮に10年固定金利を選択した場合、10年までは固定金利、それ以降は変動金利となるようなプランです)

そのため、固定金利は、将来にわたって金利の変動が無い場合、変動金利と比較して返済額が大きくなってしまうというのがリスクといえるわけです。

 

変動金利と固定金利どっちがいいの?

まず、100%こちらがオススメというものはありません。それぞれに説明したとおりの一長一短があるからです。
しかしながら、こういう方にはこっちの方がオススメできるというのはあります。いくつかのローン金利タイプ選択のためのエッセンスを紹介します。

 

変動金利がおすすめできる方

金利変動リスクに対して十分に対応できるだけの経済的な体力がある方におすすめです。金利が低い間は、低金利による運用メリットや、税効果(住宅ローン減税等)の恩恵を利用しながら、万が一金利が急騰したような場合には、一括返済ができるような方には変動金利をオススメします。

上記は極端な例ですが、変動金利でローンを組むような場合には繰上返済などを活用しながら、10年程度で完済できる程度の余裕はほしいと思います。
逆に35年ローン計画で、変動金利による住宅ローンを「現実的な返済額」として考えているのであれば、危険です。
マンション広告の変動金利・35年の住宅ローンを借りれる人って…」などでも指摘されているように、変動金利で住宅ローンの返済額が計算されてしまうと、「見た目はとても簡単に返済できるように見えてしまう」というトリックがあります。注意してください。

 

固定金利がおすすめできる方

固定金利がおすすめできる方は「収入が安定している方」でしょう。将来にわたっての返済額が確定しているため、将来にわたっての資金計画が建てやすいです。

また、変動金利と比較して金利が高いといっても歴史的に見れば固定金利で2%台の金利水準というのは馬鹿みたいに安い金利です。
逆に、この水準の固定金利の返済額ではちょっと生活(返済)が厳しいというのであれば、その住宅購入自体がまだ時期尚早であると考えてもよろしいかと思われます。

 

参考サイト
住宅ローン金利の種類

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。