株式投資

バリュー投資とは何か?そのメリット、デメリット

バリュー投資とは、“バリュー株”と呼ばれる、その会社の株価が企業の利益水準や資産価値などから判断して割安であると考えられる銘柄に対して投資をする方法です。

企業の成長性を重視して株を買う「グロース投資(グロース株投資)」に対する投資法として紹介されることが多いですね。

今回はそんなバリュー投資とはどのような投資法でどのような特長があり、どういった点に注意すべきなのか?といったバリュー株の基本を紹介します。

バリュー投資における「割安」「割高」とは?

バリュー投資では、その会社の利益や資産価値に対して、株価が本来価値(適正株価)で評価していない「割安株」を投資対象とします。

たとえば、10万円の価値がある商品が、中古屋さんで4万円で売っていたらお得ですよね。これを4万円で買って、本来の価値である10万円で売れたら6万円儲かります。

バリュー投資は、こうした投資を株式市場で行います。ウォーレンバフェットやベンジャミングレアムといった偉大な投資家たちのスタイルもバリュー投資です。

割安株かどうかはどうやって判断する?

一般的にはファンダメンタルズ分析でよく利用される「PER」や「PBR」といった株価指標を使うことが多いです。

株式投資におけるファンダメンタルズ分析とは何か? 株式投資において投資判断をするときに、その企業の業績や動向、マクロ経済の状況などのことをファンダメンタル(経済の基礎的条件)と呼...

PER(株価収益率)

株価がその会社の1株当たり利益(EPS)の何倍で評価されているかを示す指標。低いほど割安であるといえます。利益水準から割高、割安を判断できる指標です。

PER5倍なら、利益がすべて株主に配当されるとすれば5年で投資資金が回収できるという事になります(利回り20%)。一方でPER100倍なら投資資金回収まで100年かかるということですね。

PBR(株価純資産倍率)

株価がその会社の1株当たりの純資産(BPS)の何倍で評価されているかを示す指標。低いほど割安であるといえます。その会社の純資産(資産-負債)からその会社の割高、割安を判断できる指標となります。

PBRが1倍を割り込んだ場合、「時価総額<会社の純資産」ということになります。

極端な話、その会社を買収して会社を清算すれば、株主から見れば手残りが多くなるという水準です。

PERやPBRは証券会社のスクリーニングツールで調べられる

各証券会社では、スクリーニングツールと呼ばれる銘柄検索サービスを提供しているはずです。PERもPBRもこうしたツールで検索することができます。

たとえば、PER5倍以下でPBR1倍以下といった検索もできます。※下記は「SBI証券」のスクリーニングツールとなります。

で、結果は以下のような感じです(2019年1月31日)

意外と多いですね……。上記の株は理論上、現在と同じ利益水準が続けば、5年以下で投資回収ができ、解散価値以下にしか株価が評価されていない会社ということになります。

バリュー投資のメリット

バリュー投資の大きなメリットは短期的な上下を気にする必要がないという事です。

1000円の価値がある株価が今600円で評価されている!と確信を持って言えるのであれば、短期的な上下を気にせずに、正しい評価になるまで持ちづければいいわけです。

パソコンやスマホ(相場)とにらめっこする必要はありません。

バリュー投資における注意点

バリュー投資における注意点をまとめています。

単純にPERが低い=割安ではない

たとえば、「PERが低い=割安」というのは単純に判断できません。なぜなら、PERというのはあくまでも、過去に利益たいする評価にすぎないからです。

たとえば、業績が右肩下がりになっている会社の場合、去年の利益より今年の利益の方が小さくなります。株価は将来を見ますので、将来の業績悪化が懸念される場合、低いPERが正当な数字となってしまいます。

割安かどうかを見極める選別する力が必要になる

言い換えると、バリュー投資を成功させるには、自分自身がその会社を深く分析し、割安であると判断できる確固たる選別を行えるだけの能力が必要になります。

スクリーニングツールでは、表の数字しかわかりません。PERやPBRが数字上割安であっても、中身がダメな会社もたくさんあります。

こうした株価指標はもちろん重要ですが、それだけでは足りません。株式市場という開かれた場で、割安に放置されている“理由”があるかもしれないからです。それを探り、割安に放置されているのはマーケットが間違っているといえる必要があります。

  • 企業規模
  • 財務状況や決算の信ぴょう性
  • 配当、利益の伸び

など様々な要因を投資家それぞれが判断基準を持って投資する必要があります。

前提が変われば割安でなるなること

バリュー投資のメリットで「放置できる」という事を書きましたが、例外として投資判断の前提が変わることがあるという事を知っておく必要があります。

投資をした時点では「割安」であったとしても、経済状況の変化、競合の変化、マーケットの変化によって割安株が割安でなくなることもあります。

そうしたときに、過去の判断にしがみつき、保有し続けると手痛いダメージを被ることもあります。前提が変わった時はスパッと切ることも大切になります。

簡単なようで難しいバリュー投資

バリュー投資は割安な株を買って、適正価格に戻るまで待つ。という比較的わかりやすい投資スタイルであることや、稀代の投資家であるウォーレンバフェット氏の投資スタイルでもあることから人気の高い投資方法です。

その一方で、割安株を探すには高いレベルの企業分析力が必要であるという点は投資初心者には難しいところもあります。

また、株価が上下を気にしないというのも難しいです。騰がったら売りたくなってしまいますし、下がったら不安になります。バリュー投資は投資家の運用レベルとしてはかなり高度な投資方法であるといえます。

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。