株の有名な格言の一つに「国策に売りなし(政策に売りなし)」という言葉があります。この格言は文字通りの意味で国が実施しようとしている政策に合致している会社の株は買うべき(売るべきでない)という意味になります。
そもそも国策に売りなしとは?
国策というのは国家・政府が決定する方向性や考え方で、その時々(時代)によってその内容も変わってきています。
- 日本列島改造計画
- 所得倍増計画
- アベノミクス
といったような大掛かりで概念的なものが挙げられます。こうした国家政策は財政出動(財政政策)が積極的にとられることで、関係する領域に対して資金が大胆に供給されることになります。
また、ピンポイントな政策もあります。
- マイナンバーカードの導入
- 消費税増税
- 新紙幣導入
- インバウンド
- 18歳成人化
- 働き方改革
- 電力自由化
- ふるさと納税
といったように、個別個別のテーマに沿った国策(政策)のようなものもあるわけです。“○○国策”という一つのテーマ株投資といえないこともありませんね。
こうした国が推し進めようとする領域に対しては、国が直接的に金銭的な支援を行うことで事業規模が拡大することがあるわけでなく、税制等の仕組みで優遇されるなどして消費の流れが変わることもあるわけです。
マイナンバーカードの導入であれば、それに伴うシステム開発などの仕事が委託されることになります。消費税増税では軽減税率関連でレジの買い替え需要などが発生することもありますね。
ふるさと納税は税制優遇(寄付金控除)を通じて、納税者の寄付の流れが拡大、それに伴い自治体と納税者の寄付(ふるさと納税)をつなぐ事業会社は高い収益をあげています。
国策に売りなしは信頼度が高い運用方法
国策に売りなしという格言は上記で述べてきたようにアノマリー的な話ではなく、実際のお金の流れに基づいているものなので信頼性の高い格言です。
投資判断をする際に、その企業が国策に沿っている会社であれば中長期の成長が成し遂げられる可能性はあると見えます。
こうした政策はオープンにされているわけで、多くの投資家も同じことを知っているわけです。なので裏をかいて儲けるというようなタイプの話ではありません。そういった意味では取り組みやすいと思います。
国策はいつまで続く?逆風となることもある?
国策がいつまで続くのか?逆風となることはないのか?ということを分析していくことも重要になっていきいます。
たとえば、2019年6月以降の新ふるさと納税のように、政府の方向転換によって大きくなったマーケットに対して冷や水を浴びせるようなケースもあります。
国策により急拡大を見せていた新しい市場に対して“やりすぎ”を理由に政府がストップをかけてくるケースもあるわけです。
政策によってはマイナスとなるようなものもある
また、必ずしも国策というのは株にとって買い材料になるわけではないということも知っておく必要があります。売り材料になるケースもあります。
たとえば、働き方改革は、人材派遣や人材募集といった会社にとっては業績的にプラスとなる一方で、人件費の増加をもたらしています。
そのため、労働集約的な事業をしている会社にとっては人件費率の増加が業績にとって大きなダメージ(経営環境悪化)につながる可能性もあります。