投資全般・コラム

メンタルアカウンティング(心の会計)に気を付ける

accounting-mentalメンタルアカウンティングと言う言葉は心の会計・心の家計簿とも呼ばれ、行動ファイナンスで用いられる概念です。人はお金に関して何か決める時、様々なことを総合的に勘案し、合理的に判断するのではなく狭いフレームの中にはめ込んで決定をするというものです。こうしたメンタルアカウンティングについては多くの場合「非合理的」な行動をとると言われており、私たちは生活をする上で投資をする上でも気を付けるべきです。

 メンタルアカウンティングによる非合理的な行動

行動ファイナンスで取り上げられることが多いメンタルアカウンティングによる非合理的な行動をいくつかまとめてみます。

・投資やギャンブルで損をすると1日単位の損益を考えて損を取り戻そうとしてトレードする
・投資などで儲かった利益を「あぶく銭」と考えてパーっと使ってしまう

こんな経験がある方もいるのではないでしょうか?特に、株式投資などで損切りをすると急にリスク性向が高くなり、損を回収しようと極端なハイリスク取引をする方がいますが、そうした行動はメンタルアカウンティングによるものの一つだとされます。

 

お金に色はある?

お金に色はないと言われますが、実際には私たちは心の中でお金に色を付けて判断することが多いそうです。

お金に色を付けているという例で用いられる例題があります。

(A)あなたはあるスポーツ観戦のチケット(5000円)を買おうと思っています。ところが、財布に入れていたはずの2万円のうち5000円を無くしたことに気づきました。あなたはチケットを買いますか?

(B)あなたはすでにスポーツ観戦チケットを買っています(5000円)。ところが会場でそのチケットを忘れことに気付きました。なお、当日券も5000円で売っています。あなたはこの当日券を買いますか?

質問内容はちょっと違いますが、上記の質問はカーネマンとトヴェルスキーが行った行った実験です。ちなみにAもBも経済的なロスは同じですがAの場合88%は購入すると回答し、Bの場合は46%しか購入すると回答しなかったそうです。

カーネマンらによると、これはAの場合、無くした5000円はチケット代とは別のものなのでメンタルアカウンティングにおいて別物と判断するが、Bの場合、5000円のチケットを無くし、再度5000円のチケットを買うということになり、メンタルアカウンティングによりチケット代に1万円は高いとして再度の購入をためらったものと言われています。

 

これらの例のように、私たちはどうしても、心理的にこのように考えてしまうらしいのです。
これはある意味仕方がないことです。ところが、「そういう傾向がある」ということを知っていれば、一度じっくりと考えてみることで、こうした態度や行動を改めることができるかもしれません。

また、このようなメンタルアカウンティングの考え方を逆転の発想で好ましい行動に生かすことができるかもしれません。

 

貯金は分散して少額にするなどして浪費の心理的抵抗を高める

貯金が何百万円も貯まっていると口座のお金が相対的に大きく見えて、無駄遣いが多くなるかもしれません。行動経済学によると、私たちはお金を「現在時点からの移動の大きさ」で見るそうです。

1000万円の口座から1万円減ってもわずか0.1%に過ぎませんが、10万円しか入っていない口座から1万円減れば全体の10%です。貯金は一つにまとめるのではなく、目的別に分散するなどしてあまり多額にならないようにしましょう。

特に「生活費」用の銀行口座については余分な残高を作らないようにすることが大切です。
生活費用と貯蓄用の銀行口座を分けて、普段は生活費用の口座だけでやりくりするというのはメンタルアカウンティング的にも有効な方法です。

参考記事:貯金専用の銀行口座を作ろう

同じように、財布の中にも沢山の現金を入れないようにしましょう。

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。